介護業界激震!倒産前年比36.6%増 – 訪問介護が全体48%

2024年度、介護業界の倒産が過去最多の179社に達し、そのうち訪問介護が占める割合は実に48%に上りました。これまでの業績の改善や成長に懸念が強まる中で、原因となる要素や影響を理解することは、業界全体の未来を考える上で重要です。特に、訪問介護業務の報酬引き下げや人手不足が深刻化し、事業運営に大きな影響を与えています。本コラムでは、倒産の背景とその影響、業界への解決策を探ります。

介護業界の倒産、前年比36.6%増

2024年度の介護業界における倒産件数が179社に達し、前年度比で36.6%の増加となりました。

倒産企業数が増加した背景には、複数の要因が絡み合っています。まず一つは、介護報酬の引き下げです。2024年4月に実施された報酬改定により、訪問介護をはじめとする多くの介護サービスが収益の圧迫を受けました。特に訪問介護事業者の倒産が急増し、全体の48%を占める形となりました。介護業界の事業者にとって、このような報酬引き下げは経営に深刻な打撃を与えています。

訪問介護の倒産が急増、背景に報酬引き下げと人手不足

訪問介護は、2024年度において過去最多となる86社が倒産し、全体の48%を占めました。

この背景には、介護報酬の引き下げが直接的に影響していると考えられます。介護報酬の引き下げによって、収益が減少し、多くの事業者が経営の圧迫を受けました。さらに、訪問介護事業者は人手不足という深刻な問題にも直面しています。2022年に発表された調査によると、訪問介護職員の83.7%が「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答しており、この人手不足がさらに業界を圧迫しています。

訪問介護事業においては、介護職員の大半が高齢者であることが問題となっており、65歳以上の従業員比率が他の職種に比べて圧倒的に高いのが特徴です。このような状況では、今後さらに人手不足が悪化し、サービス提供が困難になる恐れがあります。

介護報酬引き下げの影響とその背景

2024年4月に実施された介護報酬の引き下げは、訪問介護を中心に全てのサービスで影響を与えました。基本報酬が約2%引き下げられ、特に訪問介護や定期巡回随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護などが大きな影響を受けました。これにより、介護事業者は運営コストを抑えるために人員削減やサービス縮小を余儀なくされるなど、事業の存続が難しくなりました。

(参照:厚生労働省)

報酬引き下げの背景には、厚生労働省の「介護事業経営実態調査」の結果が影響しています。この調査によると、訪問介護事業所の収支差率が他の介護サービスに比べて高いことが分かり、訪問介護の収益性が相対的に高かったため、報酬の適正化を図るために引き下げが決定されたとされています。この引き下げが業界全体にとって非常に痛手となり、多くの事業者が倒産に追い込まれました。

解決策としての廃業コーディネーターの活用

倒産や廃業を迎えた事業者にとって、次のステップをどう踏むかが重要です。廃業未経験者が進める場合、まず専門の廃業コーディネーターに相談することが最も効果的です。廃業コーディネーターは、廃業手続きや経営の問題を理解している専門家であり、具体的な計画を立てるためのアドバイスを提供します。弁護士への相談や手続きは、具体的な計画が決まった段階で行うべきです。

特に、倒産や廃業経験があり、経営者の思いや心理が分かる信頼できる専門家に相談することで、経営者は自分の未来に対するビジョンをより明確に描くことができます。廃業は大きな決断ですが、専門家のアドバイスを受けることで、冷静に状況を理解し、最善の選択をすることができます。

経営者にとって必要な支援とは

介護業界での廃業や倒産を避けるためには、経営者が冷静に状況を判断し、適切な支援を受けることが不可欠です。特に、廃業や倒産の際には、行政対応や資産管理、リスク管理といった課題に直面します。これらの問題を未然に防ぐためには、実践的な経験を持つ専門家による的確なアドバイスが重要です。信頼できる支援者を得ることで、経営者は最適な選択肢を見つけ、企業を次のステージに進めることができるでしょう。

介護業界が直面する困難は大きいですが、専門家の支援を受けることで、業界全体の再生への道を探ることができます。