介護事業の経営者をやめたいと思ったらどうする?

経営をやめる場合の4つの選択肢とは

介護事業の経営をやめる決断を迫られる背景

近年、介護業界では 介護報酬の減額 や 人材不足 により、経営が困難になるケースが増えています。
特に、介護スタッフの確保が難しくなり、サービス提供自体ができない という声も多く聞かれます。

「後継者がいない」「人材が採用できずサービス提供が困難」「介護報酬が減額され利益が出ない」
こうした理由から、経営を続けることが難しくなり、事業をたたむ決断をする介護事業者も増えている のが現状です。

しかし、長年築き上げてきた事業をそのまま廃業するのは、必ずしも最善の選択ではありません。
経営をやめるにあたっては、 事業承継(親族・社内・M&A)か、廃業か の選択肢を検討することが重要です。

本記事では、介護事業の経営をやめる場合の4つの選択肢 について詳しく解説します。

1.親族内承継 – 家族に事業を引き継ぐ

親族内承継とは?

親族内承継は、 子どもや親族に事業を引き継ぐ方法 です。
中小企業では一般的な手法でしたが、近年は M&Aの普及により減少傾向 にあります。

メリット

  • 家族に経営を託すことで、社内外の関係者に受け入れられやすい
  • 相続による財産・株式の移転がスムーズに進む

ディメリット

  • 親族に適した後継者がいない場合が多い
  • 経営ノウハウが不足していると、事業継続が困難になる
  • 経営権を巡る親族間のトラブルが発生する可能性

2.社内承継 – 従業員や役員に引き継ぐ

社内承継とは?

親族以外の経営陣や従業員に事業を引き継ぐ方法 で、
経営陣が引き継ぐ場合を MBO(マネジメント・バイアウト)、
従業員が引き継ぐ場合を EBO(エンプロイー・バイアウト) と呼びます。

メリット

  • 会社の方針や文化を理解した従業員が引き継ぐため、スムーズな事業継続が可能
  • 顧客・取引先との関係性が維持しやすい

ディメリット

  • 適任者がいない場合がある
  • 従業員が経営者となることで、資金面の負担が大きい

3.M&Aによる第三者承継 – 介護事業売却

M&Aとは?

親族や従業員以外の第三者に事業を売却する方法です。
近年、後継者不足の解決策としてM&Aの活用が増えています。

メリット

  • 後継者不足を解決できる
  • 売却益を得られる(新たなビジネスやリタイア資金に活用可能)
  • 従業員の雇用を維持できる(買収先によっては待遇改善の可能性も)

ディメリット

  • 買い手探しが難しい(特に赤字企業の場合)
  • 売却益には税金がかかる(譲渡益税の影響)
  • 取引先との関係が悪化するリスク(契約変更など)

M&Aを成功させるためには、 M&A仲介会社や専門家に相談し、最適な買い手を見つけることが重要 です。

4.廃業 – 事業を終了する

廃業とは?

事業を完全に終了し、法人を解散することです。
M&Aが難しい場合の最終手段となりますが、費用がかかるため慎重な判断が必要です。

メリット

  • 事業リスクから完全に解放される
  • 経営のストレスから解放される

ディメリット

  • 従業員の解雇が必要になる
  • 取引先との契約解除手続きが発生する
  • 法人の解散・清算にはコストがかかる

廃業にかかる費用

  • 法人の解散手続き費用(50万~100万円)
  • 未払い債務の処理
  • 不動産・設備の処分費用

特に介護事業の場合、行政への届け出や介護報酬の精算などの手続きが必要になります。

この為、廃業コーディネーターに相談する事をおススメいたします。

介護事業の売却価値を確認する方法

介護事業を売却する場合、自社の売却価値を把握することが重要 です。
売却価値は 売上規模、利益率、従業員の定着率、運営許可の状況 などで決まります。

自社の価値が分からない場合は、 M&A仲介会社や専門家に相談し、適正な売却価格を査定してもらいましょう。

介護事業の経営をやめる場合、

  • 親族内承継
  • 社内承継
  • M&Aによる第三者承継(介護事業売却)
  • 廃業

の4つの選択肢があります。

「介護報酬の減額」や「人材不足でサービス提供が困難」な状況に直面している場合、
最適な選択肢を各専門家と一緒に検討することが重要です。